昭和のおっかないものと言えば、「地震、雷、火事、オヤジ」でしたが、山で出会うと、おっかないものとして、「ヒグマ、雷、ハチ、マムシ」があります。

大前提として、遭遇しない努力を最大限することが大切です。

 

目次

遭遇しないようにするためには??

ヒグマの場合

ヒグマは人間の持っている武器が怖いのです。そのため、ラジオや鈴を鳴らすなりして、人間の存在を知らせてあげれば、遭遇する確率はグッと減ります。

 

スズメバチの場合

山で最も出現率が高く、危険な生き物がスズメバチ。香水、化粧品、整髪料をつけるのはNG。スズメバチの警報フェロモンと同じ物質が含まれている可能性があるからです。

またアルコール飲料や清涼飲料水の取り扱いも注意が必要。糖分を求めたスズメバチがニオイに誘引されて近寄ってきます。

さらに、黒を攻撃する性質があるため、黒色、暗色の服を避け、長袖・長ズボンを着用すること。とはいえ、白色のものを攻撃しないということではありません。

 

・マムシの場合

蛇はハチに次いで山で出会いやすい危険な生物。性格は、臆病で、よほど接近しすぎない限りは、マムシの方から人を攻撃することはありません。マムシを相手にしない、近寄らないことが大切。

 

トイレの際は、要注意!

危険なのは、登山道から離れてする『トイレ』。登山でトイレをする場合、人目を避けて、蛇がひそんでいる森や草むらの

中に入ると思います。そして、用をたすために、腰を下ろすので、咬まれる可能性が”グッ”と上がります!

トイレにいく際も、ゲイターを着用したり、事前に蛇がいないことをチェックしてから、用をたすようにしてください。マムシは熱に反応して攻撃してくるので、真夏であっても、肌を露出して草むらに入るのは避けてください。

 

落雷の場合

日本で落雷による死者は年間15〜20名で、この数字は欧米各国より多いといわれます。雷が発生しやすい気象条件、登山では4月から10月、特に夏季は雷が発生しやすい気象条件です。

夏季ならなるべく早朝に出発し、13時ころには行動を終えるようにする。夏の夕方に起こる雷は同じ時間に起こることが多いため空が暗くなって遠くで「雷の音」が聞こえ始めたら、危険を避けるために一時避難してください。雷鳴が聞こえた時点で、

すでに危険領域に入っていることが多いからです。

 

とはいえ、遭遇しない努力をしても出会っちゃった場合はどうする??

・ヒグマの場合

至近距離で出会った際に『大きな声を出す』のはNG不快な叫び声はヒグマにとってもストレスに。刺激しないように静かにすること。

また、『走って逃げる』もNG。走っているものを追いかけてしまうという熊の習性を刺激してしまいます。

また、ヒグマは時速40〜50キロくらい走れるという報告もあり、人類最速のボルトでも時速37kmのため、逃げ切れないので、くれぐれも走って逃げるのはやめましょう。

 

・スズメバチの場合

「熊」や「マムシ」よりも被害者・死亡者が多いスズメバチ。姿勢を低くし、音を立てずゆっくりとその場を離れましょう。スズメバチは、上下の動きが苦手。また、ハチの目は、前方と上方はよく見えますが、下方は見えにくいといわれています。

姿勢を低く保ち、ハチが巣に戻るのを待つか、かがみながら後ずさり、刺激しないようにゆっくりとその場を離れてください。ヒグマと同様、焦って逃げ出すのは止めましょう。

また手で払わないこと。ハチは縄張りに入ってきた素早く動くものに敏感で、その動くものに攻撃する習性があります。はたき落そうとして、手や衣類、タオルで払ったりすると、ますます攻撃的になります。

また目を刺されないように注意すること。失明の可能性があります。

スズメバチから「カチカチ」音が聞こえたら要注意!「カチカチ」音は、威嚇音です。音が聞こえたら行動は慎重に。そして、これは最後の警告。それでもその場から立ち去らないと、仲間のハチを呼び寄せて集団で攻撃してきます。よって、この音が聞こえたら、速やかに立ち去ってください。

注意が必要なのは、「必ず威嚇音を出すわけではない」ということです。実際は、無警告でいきなり集団攻撃してくることのほうが多い。

 

マムシの場合

登山道でマムシに出会って、威嚇を受けても、それ以上近寄らずに無視して遠巻きに通り過ぎれば、ほとんど害はありません。仮にマムシに噛まれても慌てないでください。

「マムシにかまれると死亡」というイメージがありますが、実際は違い年間約3,000人の被害がありますが、死者は5 – 10名程度で、死亡率は高くありません。

とはいえ、実際に噛まれたらどうする??

まずしっかりと患部を水で洗ってください。水は、飲料以外にも、このような使い道があります。登山には多めに持っていきましょう。次に腕時計や指輪など、締め付けているものを外す。

走ってでも良いので、早く病院へ行く。※ かつては「毒蛇に咬まれたら安静にして病院へ」とされてきましたが、今はこの対処は見直され、走ってでも良いので早く病院へ行った方が良いとされています。

 

落雷の場合

雷で注意が必要なのは、直撃だけでなく「側撃」も。側撃とは、近くに落ちた雷によって受ける衝撃のことで、大ケガすることもあります。

また側撃で地面に流れた電流に感電することも。岩場は電流が岩伝いに走ることがあるので、急いで退避してください。

鉄製ハシゴや鉄柵などからも離れる。「側撃」を受ける危険がある場所、たとえば樹木のそばは、4m以内に近づかない。トレッキングポール、傘など長いものは地面に寝かせ、テントはポールに落雷しやすく、中で側撃を受ける危険があるので注意。

 

雷雨時の姿勢

両足を揃えてしゃがみ、指で耳をふさぐ。手を地面についたり、ふせてはいけません。金属製の物を体からはずす必要はありません。人間の体の方が金属よりも電流を通しやすいからです。

逃げる時は、みんなで固まらずに離れて逃げる。

雷と雷の間の5~10秒の隙に、姿勢を低くしてより安全な場所に移動する。近くに山小屋があったら山小屋に避難する。

万が一直撃した場合は??

死亡率は30%と言われています。心停止による即死がほとんどです。直撃さえ免れればそれほど大きな損傷は与えず、たとえ心停止しても心臓マッサージで蘇生する可能性が高いです。

ショックを起こしているだけの事も多いので人工呼吸や心臓マッサージを行います。