動物だけではなく、世界中に生息する昆虫の40%が「劇的な減少率」で個体数を減らしていることが、最新の調査で明らかになっています。

上記の記事でも昆虫食を紹介しましたが、食物としての役割よりも、昆虫は植物や動物の生態系に大きな役割を果たしており、このまま昆虫が減少し続けてしまうと、人間の生活にも大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

目次

動物よりも昆虫の減少が深刻なスピードで進行

BBCニュースによりますと、ハチやアリ、カブトムシなどは、ほ乳類や鳥類、は虫類と比べて8倍の速さで減少。
昆虫の減少は世界中ほぼ全ての地域で起きており、この先数十年で全体の40%が絶滅する恐れがあります。

そのため、昆虫は現在の減少率が続くと、今後1世紀以内に消滅する可能性があるのです。

 

なぜ昆虫は減少し続けているの??

絶滅危惧種~ベッコウトンボ~

減少する原因の1つとして、動物と同じ森林の伐採や農地開発など、人間によってもたらされた生息地の変化があります。
森林は樹木や草、コケなどの植物や、菌類、土壌微生物、昆虫、鳥、爬虫類、哺乳類など様々な生き物の生息・生育の場となっています昆虫は、伐採によって生息数・種数が大きく影響を受けますが、一度減少すると長期にわたって回復しないんです。

 

地球温暖化に対応できない

昆虫には体内の熱を調整する機能がなく、熱帯雨林の気温が上昇してもその変化に適応することができないため、昆虫は人間よりもはるかに大きな影響を受けます。

また1960年ころからの急激な経済成長に伴う都市近郊を含む生息環境の減少や、攪乱により、それ以前には人里で普通種であった昆虫が絶滅しました。

地球上の昆虫の減少が「カタストロフ的なレベル」であることが科学的調査により判明。
科学者たちは「100年以内にすべての昆虫が絶滅しても不思議ではない」と発表しています。

 

激減する昆虫 独保護区では27年で7〜8割減 人間の生活に影響も

ドイツの自然保護地区で行われた調査で、昆虫の数がこの数十年間で激減していることが分かった。
有益なものから害虫まで、昆虫全体の数は世界中で減少していると見られているが、原因はよく分かっていない。

生態系が破壊されれば、人間の生活も大きく影響を受けることは間違いないため、専門の研究者育成が求められている。

 

ドイツ・イギリスでも確実にいなくなった昆虫

博物学者を中心としたドイツのアマチュア・グループによると、
1989年から2016年までに、ドイツの63ヶ所の自然保護区で飛んでいる昆虫を採集した結果、この27年間で、3月から10月にかけてでは76%、虫が多くなる真夏では82%の昆虫が減っていたという。

また英テレグラフ紙への投稿によると、かつてはよく車のフロントガラスなどに大量の虫がぶつかって潰れて張り付いていたのに、近年はそのような虫だらけの車を見ることが少なくなったという読者の報告が多く寄せられているという。

これは「ウィンドスクリーン(フロントガラスのこと)現象」と名付けられており、同様の傾向がヨーロッパ中で見られるという。

 

昆虫が減るとどうなる??

地球の生物種全体の約3分の2を構成する昆虫は約4億年前に出現して以来、主要な生態系を支える基盤となってきた昆虫。
実に野生の植物の 80パーセントの受粉を担っており、鳥類の 60パーセントに食物源を提供するなど、自然界の生態系機能に重要な役割を果たしているのです。

また食物源を昆虫に頼っている種や、これらの動物を食べる食物連鎖上位の捕食者は、生息数の減少により打撃を被る可能性が高いのです。

 

温暖化よりも別の理由?

上記のドイツの研究では、昆虫減少の理由は特定されていません。
地球温暖化の影響が理由と一般的に言われていますが、オランダ、ラドバウド大学のカスパル・ホールマン氏によれば、過去30年でドイツの気温は若干上昇しており、それならばもっと昆虫が増えるはずだということを発表。
実は温暖化ではなく、保護区の周りは農業地帯であるため、そこからの肥料や殺虫剤などが影響したという見方も出来るという。

また、テレグラフ紙によれば、イギリスでは花咲き乱れる緑地は激減し、作物への殺虫剤の使用が増加していることから、2006年以降養蜂家の持つ蜂の巣は、毎年減少の一途だという。集約的農業や殺虫剤の使用が、昆虫減少の原因だと専門家は見ています。

 

昆虫が減ると人間も危うい?

例え、人間にとって害虫であっても食物連鎖に重要です。
また野菜や果物の受粉から埋め立てられるゴミの処理まで、昆虫の助けを受けています。
そのため、また昆虫がいなくなれば、食物連鎖の上にいる動物も影響を受け、生態系が壊れてしまうのです。

 

あとがき

日本ではミツバチが減っていることをご存知ですか?
実は、日本国内では「いないいない病」の名付けられたミツバチの集団失踪が問題になっています。
原因と考えられるのは、ハチの大量死。

赤とんぼの激減の原因のひとつといわれているネオニコチノイド系農薬の使用によるものでは??と疑われています。
このまま蜂が絶滅向かうと、どうなるのでしょうか。

アインシュタイン博士はこんな言葉を残しています。
「ミツバチが絶滅したら4年後には人類も滅びているだろう」
なぜかというと、国連環境計画(UNEP)アヒム・シュタイナー事務局長の報告によると
「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」
という。