ビニール傘。
今年何本買いましたか?

雨が降ると、コンビニでも100円ショップでもすぐに購入できる便利なものですよね?
とはいえ、雨が止むと大量に廃棄されるものでもあります。

脱プラスチック、脱ビニールが進んでいる世界の中にあって、「ビニール傘の使い捨て」は当たり前のこととして定着している日本。

駅・電車での忘れ物は数十年連続で1位。
警視庁の遺失物センターへ、鉄道会社や警察署から届く忘れ物の傘は年間およそ30万本。
そして消費されるのは年間1.3億本以上。
そのうち6500万本がビニール傘。

 

目次

ビニール傘問題

世界で一番傘を消費するビニール傘大国なのです。
ポリエチレンやポリ塩化ビニルなどで作られているビニール傘。
ストローより何十倍も大きいもの。
日本では、ストローより先に、このビニール傘問題を解決すべきではないでしょうか?

 

なぜそこまで傘を使うのか??

ウェザーニュースの調査によりますと、年間降水日数は世界13位。
しかし、調査対象となる35カ国の平均所有数が2.4本の対し、日本での1人あたりの傘所有数は3.3本で世界1位。
実際に使用する傘の内訳として「折りたたみ傘」は世界平均は55%であるのに対し、日本では21%と半数以下の数値となっています。

 

日本の物を大切にする文化はどこにいった??

江戸時代の日本といえば、世界一省エネで、そして環境に優しくモノを大切にする国だったそうです。
しかし今や、世界でトップクラスの使い捨て文化になっています。

もったいない文化の日本と、使い捨て文化の欧米という常識は今や逆。
オーダーメイドの傘を生涯大切に使う欧州とは対照的なのです。

少し金額が高い日本の傘はそうそう壊れません。
気にいった傘をチョイスし直しながら使っていくということを考えてみてはいかがでしょうか。

対策:傘は一生使えるものを選びましょう

ビニール傘の使い捨てや放置が深刻な問題に

傘を廃棄する際、構造上、傘は分別が困難です。
そのためビニール傘の多くが分別されずにゴミとして出されます。

ゴミを砕いて小さくし、金属やプラスチックなど材質ごとに分別するのですが、ビニール傘は鉄とプラスチック部分の分別が難しく、リサイクルに適していません。

また、骨とビニールを固定するため、強力な接着剤が使われており、そのため分解するのに非常に手間がかかります。

さらに、材質が一定でないのも問題。
ポリエチレンやポリ塩化ビニル、非結晶ポリオレフィン(APO)、エチレンビニルアセテート(EVA)など、一目で見分けられないこともリサイクルを難しくしています。

そのため、分別が手作業でしかできず、人件費がかかるため埋め立て処理となるのが現状なのです。
また、ビニール傘製造には色々な原料が使われており、資源の無駄使いになっています。

 

日本国内での処理は限界

今まで大量に出たビニール傘の処理をしていたのは中国で、世界のゴミを受け入れる世界最大のゴミ処理場でした。
しかし、2018年1月、ビニール傘を含む大量のプラスチックごみの受け入れを環境汚染を理由に停止。

中国に出していた年間およそ50万トンのプラスチックごみのほとんどを、日本国内で処理しなければならなくなり、ビニール傘などのゴミの処理は、以前のように進まなくなったのです。

 

この状況を改善するサービスが登場

こうした状況を受けて、国内では傘のシェアリングサービスが台頭。
例えば、都市部を中心に急速に拡大している「アイカサ」があります。
ユーザーはLINEアプリから専用の傘が設置されている「アイカサスポット」を探し、QRコードを読み取り傘のロックを解除。

借りた傘はどのアイカサスポットで返却しても良く、1日に何回借りても料金は70円。
2019年6月に「シェア傘5000本」を実現した後、東京オリンピックがある2020年までに「3万本」まで増やす予定と言われています。

また、英語や中国語、韓国語でも使えるようにし、外国人観光客のニーズも取り込んでいくそうです。

 

あとがき

ビニール傘だけでなく、コンビニ、レストランなどで見る水滴が落ちないよう、傘を入れるビニール袋も大量に消費されています。
その数なんと年間19億枚

お店が濡れないように、また傘が盗まれないようにと心配する気持ちは十分に理解できますが、これは立派な逆エコ活動で、注意したいとところです。