ホッキョクグマといえば、陸上最大の肉食動物です。
オスは体長はなんと3.5m、体重400キロを超えており、そのため、動物園で飼育されているホッキョクグマの餌代は1日3000円弱、年間で100万円を超えるそうです。

野生のホッキョクグマは、北極の海氷の上をすみかとし、アザラシを主に獲物としていますが、そのアザラシが減少しており、今ホッキョクグマがピンチなのです!

ホッキョクグマは年々減少しており、現在の生息数は世界でわずか約2万5000頭。
今、絶滅の危険が高まる「危急種」に指定されています。

地球温暖化の影響でアザラシが減少

本来、ホッキョクグマは陸上の動物なのですが、一生のほとんどを海を覆う氷の上で過ごします。
主食はアザラシです。氷の割れ目から顔を出したアザラシや、氷上で休んでいるアザラシの赤ちゃんを狙って狩りをするのです。

北極の海氷の上で狩りをするため、氷が解ける夏の間は、数カ月にわたりほぼ何も食べずに過ごします。

ということは…

温暖化によって氷のない期間が長くなると、十分な獲物が獲れず、弱ったり、子育てに必要な雪洞も作れなくなり、繁殖できなくなります。

また、アザラシを捕獲するためにより長い距離の移動を余儀なくされています。
さらに歩くだけじゃなく、ホッキョクグマは海を長時間泳ぐことになり、途中で溺れたりすることもあります。
そのため、比較的南方に棲む群の方から生息数の減少が観測されており、このまま地球温暖化が進行すると北極圏全体の個体が危機に晒されるのです。

米国地質調査所の調査によると、現在のペースで温暖化が進むと、ホッキョクグマの生存に適した夏の海氷の面積が、21世紀中頃には42%失われる可能性が示されました。
しかし、地球温暖化だけが、ホッキョクグマ現象の理由ではありません。
人によって、その個体数が減少している事態が起こっているのです。

 

ノルウェー北方の北極海でホッキョクグマが射殺されている!

ホッキョクグマの射殺事件は珍しいことではありません。
例えば、ノルウェーやカナダなどの北極圏にて相次いでホッキョクグマが射殺されています。

その背景とはなんでしょう?

それは、人間のよる傲慢な観光の結果だったのです。

CNNによると、ノルウェー領の島に上陸したドイツのクルーズ客船の乗員1人がホッキョクグマに襲われ、クマはその場で射殺されました。
スバールバル諸島とは、ノルウェー本土と北極点の間に横たわる氷河や氷山でできた群島。
全体の60%が氷に覆われ、人間の数より多い推定3000頭のホッキョクグマが生息しています。

 

人を恐れなくなったホッキョクグマ

さらに、射殺事件はカナダでも起こり、カナダ北部に位置する北極諸島セントリー島の警察によると、同島を訪れていた31歳父親と子どもがホッキョクグマに襲われ、子どもを守ろうとした父親がクマの前に立ちふさがり殺される悲劇があった。

子供にけがはなかったのですが、攻撃を受けたギボンズさんは死亡。
ホッキョクグマはその後、別の人に射殺されたのです。

ホッキョクグマが人を襲う理由として、この地方で開かれているシロクマ観察ツアーが、人間を恐れなくさせており、それが人間を襲いやすい状況を作っていたのでした。

通常、ホッキョクグマが人を襲うことは珍しいという。
CBCによると、現地近辺でホッキョクグマが人間を殺した、最後の事例は18年前に起きたっきりだったのです。

人間からクマの住み家に入りこみ、射殺する事態になってしいました。
死亡者も出ており、何のための観光なのでしょう。
生態系を壊すような観光旅行は、禁止されるように自治体単位で動物の生活環境を守る必要があります。

 

ツアー客の急増も原因の一つ

北極圏では温暖化で氷が減少した結果、観光で訪れることができる海域が広がりました。
その影響もあり、ツアー客が急増したのです。

オーロラ旅行に関するデータによりますと、フィンランドはオーロラ観光地で1位に飛躍し、ロヴァニエミの旅行者数は4倍になったのです。

 

これから北極はどうなる??

北極域を研究する科学者たちが参加する「北極圏監視評価プログラム(AMAP)」の報告書によると予想通り、地球温暖化の進行により、海氷が減少し、永久凍土も解けています。

そして、このまま大気中の二酸化炭素が増え続けた場合、今世紀末までの100年で地球の平均気温は約4度上昇。
とくに北極を中心とする高緯度地域では、その2倍のペースで気温は上がると想定されています。

さらに夏の北極海では、2030年代後半には氷がなくなる可能性があります。
恐ろしいことに、その影響は北極海近辺だけでなく、北極域の変化が中緯度の天候、東南アジアのモンスーンにまで影響することが判明。
北極域の異変によって、日本でも気象の変化が起こる可能性があるのです。

 

日本ではどのような影響が??

新潟大学の本田明治准教授らが2009年に書いた論文によりますと、日本の気候に影響を与える現象としては、太平洋の赤道沿いの海水温が平均からずれるエルニーニョ、ラニーニャ現象が起こります。
エルニーニョのときは冷夏・暖冬に、ラニーニャのときは猛暑・厳冬になるのです。

これに北極海の氷という新たな視点を持ち込んだのが、本田准教授らの研究。
本田さんらは北極海の海氷と中緯度の天候との関係を指摘。

北極海の氷が解けると、氷より温度の高い海面が顔を出します。
そのため、氷の少ない年は、海の熱で大気が暖められやすい。
とくに大気が冷えてくる11月ころ、シベリア沿岸西部のバレンツ海や、カラ海では盛んに大気へ熱が移り、その影響で12月ころの極東が寒くなるのです。

 

深刻な北極海の酸性化

大気中の二酸化炭素が増えると、地球温暖化が進むだけでなく、海の「酸性化」も進行します。
通常、海水はややアルカリ性ですが、海水に二酸化炭素が溶け込むと中性に近づきます。
これが海の酸性化と言われる現象。

海には、貝やサンゴのように、炭酸カルシウムで殻や骨格を作る生き物がいます。
海の酸性化が進むと、生き物にとって大打撃になる可能性があるのです。

異常気象が引き起こす環境の変化は、ホッキョクグマだけでなく、様々な野生生物を、絶滅の淵へ追い込んでいきます。

現在、地球温暖化の影響を受けていると考えられる野生生物の数はおよそ2,800種。
この数字は、今後さらに増加してゆくと見られており、実は西暦2000年以降、急激に増加してきました。
実際に温暖化の影響を受けていることが、懸念される野生生物で有名なものにこんなものがあります。

 

・ジャイアントパンダ

食物の99%が竹という習性を持つクマ科の野生動物。
推定個体数は1,864頭。中国の6つの山脈に分布していますが、生息地は各地で分断されています。
ジャイアントパンダは食物とすみかの両方を、険峻な山岳地帯に自生する竹林に頼っており、竹林に代わる生息域がありません。気温や気候の変化で竹林の減少や消滅が進むとパンダはすみかと食物の両方を失うのです。

 

・スマトラオランウータン

温暖化が進むスマトラ周辺の島々で暮らすオラウータン。
現地、この地域はプランテーション開発による森の消失で、深刻な絶滅の危機にさらされています。
さらに、温暖化が進行し、スマトラと周辺の島々は2025年までに雨の増加が予想されています。
そのため、主食である果物の生育を減少させ繁殖に影響を及ぼすと考えられています。

 

・アフリカゾウ

現存する陸上生物では最大の種。
2080年までに、アフリカ大陸で乾燥した地域が5~8%拡大し、一部が干ばつに見舞われると予測されています。

アフリカゾウは身体に汗腺を持たないため、48時間以上水浴びか泥浴びをしないと、健康に生きられません。
特に、乾燥化がもたらす水資源の不足は、ゾウにとって深刻な危機。
雨や水を求めるゾウが、より大きな距離を移動することになった場合、その途上にある町や道路、農地などが、それを妨げる可能性もあります。

 

・アオウミガメ

アオウミガメは、卵を産む際に、産み落とされた場所の砂の温度で、オスかメスかが決まります。
温度が高ければメス、温度が低い場所ではオスが生まれます。
このため、温暖化によりわずかでも気温が上がると、メスばかりが増え、オスとメスのバランスが狂って、繁殖ができなくなる恐れがあります。
さらに、激しい嵐や、海面上昇は、産卵に適した砂浜の自然と、産み落とされた卵を破壊します。

 

・シロナガスクジラ

地球史上最大の野生動物。
食物を求め夏には水温の低い高緯度の海域に移動し、冬は低緯度の温暖な海に移動し繁殖します。
またシロナガスクジラは海の深い場所から、冷たい海流が上昇してくる海域を重要な生息域としています。
このような海域は、海底から海面近くに運ばれる栄養分が豊富で、プランクトンが多く発生するためです。

しかし、海面近くの水温が高くなり、安定した水の層を作ってしまうと、下からの冷たい海流が阻まれて停滞し、プランクトンの発生も抑えられてしまい、十分な採食ができなくなります。

そのため、シロナガスクジラは採食に適した場所を求め、さらに南へ移動することになり、こうした移動距離の増加は、エネルギーの浪費と繁殖期間の短縮につながり、繁殖域自体も縮小すると懸念されています。

 

・コアラ

生息地のオーストラリア内陸部は、約10年にわたり続いた大規模な干ばつによる影響を受けており、いまでも山火事が絶えません。そのためこうした地域では、異常気象による干ばつで多くの植物が枯死したため、「水不足」で衰弱して命を落とすコアラが多く出るようになりました。

そのため、近年では地面に降りて、直接水を飲むコアラの姿がありますが、コアラは地面を歩き回るのを得意としません。木から降りる機会が増えると、他の肉食動物に襲われたり、交通事故に遭う危険性が増えるのです。

 

・ユキヒョウ

ヒマラヤと中央アジアの山岳地帯に生息するユキヒョウ。
標高4,000メートル以上の、世界で最も高地にすむネコ科の野生動物ですが、その美しい毛皮を狙った密猟が今も起きています。

さらに、高山で著しい気温の上昇は、森林限界を引き上げ、それまで寒くて植物が生きられなかった高地を、緑で覆ってしまうようになります。
これによりユキヒョウの生息に適した環境が減少してしまう可能性があります。