2019年9月9日 台風15号上陸

台風15号が非常に強い勢力を保ったまま、午前3時前に神奈川県三浦半島を通過。
その後、若干の勢力の衰えはあったものの午前5時前に東京湾から千葉県千葉市に上陸しました。
この影響で、特に千葉県内で大規模な停電が発生し、5日以上たった後も、20万軒近くが復旧に至っていませんでした。
今回の台風による広範囲にわたる長期間の停電被害。
実は昨年、非常に似た経験を我々はしていました。

2018年8月28日 台風21号

南鳥島近海で発生した台風第21号は、日本の南を 北西に進み、9月3日には向きを北寄りに変え、4日12時頃に非常に強い勢力で徳島県南部に上陸。
その後、4日14時頃には兵庫県神戸市に再び上陸し、速度を上げながら近畿地方を縦断して いきました。

皆さんの記憶にも新しいかもしれませんが、この台風によってもたらされた高潮により、関西国際空港の連絡橋にタンカーが衝突、一時使用不能となったり、暴風はトラックのみならず、普通乗用車がミニカーのように道を転がってしまうような凄まじさでした。

さらに、述べ431,000軒もの停電が発生。
全面復旧にほぼ5日かかりました。
(兵庫県HPより)

台風は構造的に進行方向の東側で相対的に風が強まる傾向にあります。
2018年の21号ではコースの東側に当たる大阪市、尼崎市、西宮市などで被害が大きく、2019年の15号では上陸地点に近い市原市、それに館山市、南房総市など、やはり台風のコースの東側に被害が集中しています。

さらに2018年の21号は神戸上陸時の中心気圧が950hPa、最大風速50m/s。
2019年の15号は千葉市に上陸した時の中心気圧は960hPa、最大風速は40m/sと非常に似たケースです。

一度経験した災害の教訓が全国的にシェアされていれば、今回の台風15号による被害を、「想定外」という言葉で片付けるのではなく、想定内として、被害を最小限に食い止めることもできたのではないでしょうか?

さらに付け加えれば、2018年の台風21号も19年の15号も、非常に高い精度で進路、速度予測ができていました。

台風情報をお届けする立場から、この二つの事例を比較すると、情報の共有、教訓を生かす工夫を少しでもしていれば、少なくとも15号による、今回の広範囲、長期間の停電被害の規模は小さく抑えられた可能性があったと思います。

変わりゆく自然

イギリスの産業革命以来進んできてしまっている地球温暖化による海水温上昇によって、強い勢力のまま日本にやっ てくることが、昔よりも多くなっています。

気象が明らかに変わってきています。
今回の15号の 暴風によっては千葉県君津市にある東電の送電鉄塔が倒壊してしまいましたが、いままでの台風等級の見直しなども含めて、国も、地方も、また個人個人も他人事ではなく自分のこととして、 変わりゆく自然に対応しなければいけない時代がやってきていることを強く認識すべきです。

そのためにも、過去の教訓を、次にやってくる災害に生かす工夫を、今まで以上にしっかりとしたものにしなければと考えます。