「コロナウイルス」という言葉を初めて聞いた方もいるかもしれませんが、でも、どこかで耳にしたことある。
という人が大半です。

実は、「コロナウイルス」自体は珍しいものではありません。
これまで人に感染するコロナウイルスとして有名なものが、

  • SARS「重症急性呼吸器症候群」と
  • MERS「中東呼吸器症候群」でした。

残りの4種類は、いわゆる風邪が持つ4種のコロナウイルスで、今回の新型が7番目に発見されたコロナウイルスなのです。

新型コロナウイルスが拡大を続けている今、私たちが恐れているのは「市中感染」だと思います。

とはいえ、日本ではまだ楽観ししている人が多いのではないでしょうか。
感染症に対するリスクマネジメントという概念はほど遠く、その理由に上げられますのが、上記のSARSとMERSの時の教訓が日本には不足していること。

日本においても、2003年、観光目的で関西・四国地方を旅行した台湾の医師が、帰国後SARSの疑いで隔離され、その後、その旅行訪問先の接触者の感染の可能性を心配して、日本国内も一時騒然となりました。

世界中でSARSが広がる中、運よく日本でのSARS患者数はゼロであり、安心したこともあって、感染症はまだ遠い外国の事と思っている人も多いと思います。

しかし、2003年のSARSの時と、国の対策が厳しくなっている事から、次第に不安を募らせてきていることだと思います。

 

目次

猛威を振るうコロナウィルス

現在、イタリア、イランで感染者が増え、そして北米、メキシコと世界中で増加しており、どこに行こうと、何をしようと、家から一歩も出ない限りは感染リスクをゼロにするこは不可能と言われています。

とはいえ、温かくなれば、インフルエンザと同様に、ウイルスも死滅するのでは??
と思うところですが、発生した武漢は2月で25℃ある地域、常夏の国シンガポールでも患者が確認されているのです。

 

なぜ暖かくなるとインフルエンザは消滅するのか??

トランプ大統領は「暖かくなれば、収束するだろう」とツイートしました。
確かに、季節性のインフルエンザや風邪は、気温が上がるにつれ少なくなりますが、新型コロナウイルスも同様の反応を見せるかまだ不明なのです。

冬に流行するインルエンザ。
寒くて空気が乾燥していると広がりやすいことを、最初に実験で示した研究として、2007年に学術誌「PLOS Pathogens」があります。

モルモットを使ってインフルエンザウイルスが感染する様子を実験室で観察。
気温と湿度が高い環境の下では、ウイルスの感染が減速することが判明。
さらに湿度を上げると、感染は完全に止まったのです。

その理由として、暖かい空気には水分が多く含まれ、ウイルスが空気に乗って移動するのを阻害するため。
また、咳やくしゃみと一緒に飛び出した飛沫は、空気中の水分を引き寄せて重くなり、浮遊できなくなって地面に落ちるという。

逆に気温が低く空気が乾燥していると、ウイルスは無傷のまま長く生存し、空気中を遠くまで移動できることが示唆されました。

また、新型コロナウイルスを研究する米コロンビア大学感染症免疫センター所長のイアン・リプキン氏のよりますと、「太陽光は物の表面に付着したウイルスの分解を助けるというが、冬の間はその恵みが十分に受けられない」という。

「紫外線は、ウイルスの核酸を分解して、表面を殺菌する効果があります。その点では、室外の方が室内よりも清潔と言えます」。

とはいえ、武漢やシンガポールの見られるように、暖かくなる説や太陽紫外線説は、新型コロナウイルスに通用しなく、同じような季節性を持っているかどうかを予測するには、まだ判断材料が少なすぎると言います。

よって、日本が春になる4月や5月くらいになっても、コロナウイルスが猛威を振るっている可能性は残されています。
こうなるといよいよ、東京オリンピックの延期が現実的になりますが、不安の中で大会を開催したとしても、盛り上がることはできませんよね。

 

SARSはどうやって封じこめたのか??

今回の流行をよりよく理解するために、科学者たちはSARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)など過去の似たようなウイルスの流行にヒントを求めています。

SARSウイルスと新型コロナウイルスの遺伝子は、90%近くが同じであると言います。
2002年11に始まったSARSの流行は、2003年の7月まで続きました。

予想より早く流行が終わったのは、空港での検疫が強化されたため。
SARSは性質上、検疫などの対策が効果的に働き、封じ込めに成功したのです。
また、SARSの場合は、発症者の多くにウイルス性肺炎がみられ、重症化しなければ感染性もなかったのです。

そのため、中国にはSARSの経験があったことにより対策を取り、当初は楽観視していましたが、新型コロナウイルスは、他のの病原体による感染症と区別がつきやすいことや初期症状が風邪と似ており、重症化しない例が多く、対応が遅れたのです。

さらに、新型コロナの怖い所として「再感染」の恐れがあるのです。

 

完治したの再び陰性になる可能性

大阪でバスガイドの方が感染したという報道が1月の下旬にありました。
その後、容体が回復したため2月1日に退院し、経過観察中の6日に行ったPCR検査で「陰性」が確認されたのです。

退院後は毎日マスクをつけて自宅で静養しており、濃厚接触者はいないにも関わらず。

このようなケースは中国でも報告されています。

「治療後に退院した患者の14%が再び陽性に」中国・広東省の衛生当局によりますと、治療後に退院した患者の14%から再びウイルスの陽性反応が出ていると発表。

そのため、再び陽性と確認された人が感染源になり得ることもあり、退院したとはいえ、接触を続けていると人へ感染させるリスクがあるのです。

通常、ウイルスに対抗する抗体は3~4週間で体内に生成され、抗体ができると、その後は再感染の可能性は低くなるとされていますが、新型コロナウイルスはまだ未知な点が多く、不安を増大させている要因なのです。

 

感染するとどうなるの??

WHOの発表によりますと、新型コロナウイルスによる致死率は約2%で、「SARSやMERSほど致命的ではない」との見解を示しています。

エボラ出血熱の致死率が50%前後、MERSが約34%、SARSが約10%、こちれら比べたら2%は大したことない、と思うところですが、まだ未知なところが多く、これから準じるような数値へと近づいていく可能性はあります。

しかし、日本でもインフルエンザによって亡くなる人が毎年1万人もいます。
現在の新型コロナの日本における致死率は、中国より低くなると考えられており、強い病原性はないといってよさそうです。

インフルエンザと同様に、この新型肺炎に対しても、十分な備えをしておく必要があります。

 

感染が疑われた場合はどうする??

最初は症状は、軽症でカゼと区別がつかない場合が多いようです。
WHOによると、現時点の潜伏期間は1~12.5日(多くは5〜6日)とされています。

発症時に現れる症状としては、熱、セキ、のどの痛み、強いだるさを訴える人が多いようです。

しかし、これは一般的な肺炎の臨床症状と大きく変わらず、カゼと区別がつきにくいです。

その発症から、しばらくは症状は軽く、上記の症状が1週間ほど続くと、症状がさらに悪くなり、呼吸苦などの症状が出始め、さらに悪化していくパターンが見られるとのことです。

 

国内の感染の疑いのある方に向けて
【厚生労働省による受診の目安】

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

  • カゼの症状や37・5度以上の発熱が4日以上続く場合(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様)
  • 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある場合、

また、高齢者、糖尿病、心不全、呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患など)の基礎疾患がある方や、透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方で、これらの症状が2日程度続く場合。

国内でも、新型肺炎による死者や重症患者が見られますが、WHOによれば、感染者の81%は軽症です。

重い肺炎や呼吸困難などの重症が14%、命にかかわる重篤な症状が5%です。
もし、熱が下がらない、セキや倦怠感が続く、息苦しいなどの症状が続く場合には、厚生労働省が2月17日発表した、新たな「相談・受診の目安」を参考に、近くの保健所や医療機関に相談しましょう。

高齢者や持病のある人などを重症化させないための対策が重要です。

 

感染力はインフルエンザと同じくらいと推定

感染力を示す指標として、1人の感染者が何人にうつすかという数値というのがあります(「基本再生産数(R0)」)。

WHOが1月に発表した見解では、新型コロナウイルスは、1人が1.4~2.5人に感染させるとされています。
対してSARSは2~4人でした。

また、感染力の強い疾患で有名なのははしかで、1人で12~18人にもなります。

この数値から、新型コロナウイルスは、感染力はやや弱めで、季節性インフルエンザ(RO1.4~4.0人)と同程度の感染力と見られてきました。

 

新型コロナの怖い感染力

本マップは Operations Dashboard for ArcGIS を利用して作成されました。

マップはこちら(PC版) (スマートフォン版)

インフルエンザが疑われたら、すぐに自宅療養に入りますが、新型コロナウイルスは、風邪と似た症状が続くため、感染したのを知らない無症状感染者が感染を広げる危険性があります。
これが、いまの日本の怖い所なのです。

インフルエンザと違い、潜伏期間(軽いカゼの症状)が長く、感染者自身は自分が感染しているとは分かりません。

元気な人の移動を制限することはできませんので、その結果、感染の封じ込めも出来なくなり、感染が広がるリスクがあるのです。

 

個人で出来ることとは??

過去のインフルエンザの研究では、手洗いなどの衛生管理やマスクの着用などといった、一人ひとりができることをやっていくと、50%感染を減らすことができると報告されています。

インフルエンザウイルスやコロナウイルスは、タンパク質と脂質の集まりだと考えらています。
直接触れることで人から人へと感染しますが、人が触ったものの表面や、感染者の飛沫のなかにもウイルスは存在します。

しかし、いったん人体の外に出たウイルスは、外部の力を受けて劣化します。
とはいえ、劣化した状態でもウイルスなので、入れてはいけません。

そこでやっぱり重要なのが、手指の消毒用アルコール。
タンパク質や脂質を分解するため、ウイルスは不安定になり、感染力が弱まるのです。

発生した場合は、現段階では新型コロナウイルスに対する特効薬はありません。
流行が始まったばかりの新型ウイルスのためワクチンも存在しません。

もちろん開発は急ピッチで進められていますが、ワクチンが登場するまでには、もう少し時間がかかりそうです。

そのため新型肺炎を発症したら、いわゆる対症療法の対応のみなのです。
解熱剤などで症状を緩和し、セキや呼吸困難の症状には、呼吸器や循環器を支える治療を行います。

治療しながら、自らの免疫力によって状態が回復していくのを待ちます。
そのためにも、日頃から自身の免疫の力を高めておくことが重要なのです。

万が一感染してしまった時のために、自分の免疫力がウイルスに対してどれだけ戦えるかが重要なことなのでした。