シンガポールと聞いて何をイメージしますか?
マリーナベイサンズやマーラインがあるところは、シンガポール島で、実は大小60余りの島から構成されています。
そして、一番大きいのがシンガポール島ですが、ほとんどの島は周囲が1kmにも満たない無人島。
その中に「ゴミでできた島」があるのです。
目次
ゴミで埋め立てた島がすごい!
ゴミの島??
という響きから、廃棄場をイメージしがちですが、この島は、生態系がきちんと守られており、また環境に優しいのです。
そのため観光地としても人気なのです。
なぜゴミの島になったのか??
日本でも最近新しく出来たマンションでは導入されているところも多いダストシュート。
シンガポールのマンションでは標準設備となっており、可燃でも不燃でも関係なく、ダストシュートに入れると簡単に捨てることが出来ます。
とても便利なシステムで、ゴミの処理に関して意識が高かったのですが、シンガポール国立環境局(NEA)によりますと、急激な人口の増加と急速な経済発展により、固形廃棄物が処理能力の7倍以上に増加しました。
1970年には1日約1260トンだったものが、46年後の2016年にピークを迎え、その廃棄物の量は約8600トンと約7倍まで膨らんだのです。
そのゴミはどこへ行ったのか??
回収されたゴミは、国内で稼働している4つの焼却場に集められました。
その中で、58%がリサイクル、40%が高熱で焼却されています。
残りの2%は焼却できない廃棄物(建設廃材やコンクリートなど)。
焼却することにより廃棄物の体積を減らすことができますし、さらに発生した熱エネルギーは電気を生成するために使用することができます。
しかし、焼却灰および焼却できない、リサイクル出来ない廃棄物が問題になったのです。
この問題を解決するために、セマカウ島埋め立て地が誕生したのです。
セマカウの埋立地は、シンガポールの南約4 kmにあるセマカウ島の東に位置しています。
元々小さな漁村で、沿岸の小屋には地元の漁師が住んでいました。
そこで、まず住人が本島へ移住し無人島にしたのです。
シンガポール政府は、1987年に廃棄物の保管場所として使用する目的で土地を引き継ぎました。
建設には日本の企業が携わっています。
無人になった後、島の周囲に7kmの岩堤防を建築。その中を11の区画に分け、順に埋め立てました。
生態系を守るために
汚染物質が海水に溶け出さないように、島の周りの堤防は、海底粘土や岩石層がおかれるなどの対策をしました。
そのため、西部海岸沿いのサンゴ礁は破壊されずに元の状態を保ち、植林されたマングローブは成長をつづけています。
島の周囲の海洋生態系がきちんと管理され、保護されているのです。
いま、セマカウ島はどうなってるの??
「埋め立て地」という言葉は、不潔で臭い荒野のイメージを呼び起こしますが、ここに来る訪問者は想像とはまったく異なるシーンに驚くのです。
埋め立てられたところには草原。澄んだ青い海、一続きの砂、風に揺れるヤシの木。
さらに多様な生態系、繁栄する動植物、特に鳥やカメ、カワウソ、カニ、ヒトデ、サンゴなどの海洋生物が観光客にとって島を魅力的にしています。
シンガポールで鳥を見るのに最適な場所
シンガポールの他の自然保護区がそうであるように、ここは渡り鳥の中継地点にもなっているのです。
これは、高さ1.2 mの巨大なサギ鳥の生息地。
これまでのところ、科学者は、島に住む鳥の66種を発見しました。
特に、多くの鳥が希少動物のリストに載っています。
ちなみに、セマカウ島は誰もが島に行けますが、自然に悪影響を与える生態環境への悪影響を避けるために、毎年訪れることのできる訪問者の数は厳しい管理の下で制限されています。
個人で行くことはできませんので、環境庁や許可をされた団体が、干潟観察、天体観測、バードウォッチング、スポーツフィッシングなど、さまざまな活動を提供していますので、そのガイドツアーに参加するのが一般的です。
また、セマカウ島では、環境保護の大切さを学ぶことも出来ます。
廃棄物がどうやって取り扱われ、安全に埋め立てられるのか?
また、埋立地がどういう経緯をたどって、野生の花が咲き、鳥たちが戯れる草原に変わっていったのか?
その様子を実際に体験できる場所なのです。
どうやって綺麗をキープしているの??
セマカウ島は、シンガポールの電力系統から切り離された離島です。
これまで島の電力であったディーゼル発電を少なくし、今は、太陽光や風力をベースとする再生可能エネルギーが増えています。
懸念されていた、太陽光や風力の不安定性の問題も、IoTなど最新技術を駆使した需給管理技術や蓄電システムの高度化により、解消されようとしています。
あとがき
毎日、生態系が死の危機にある世界において、この島は人々に環境問題を再認識させ、地球を汚染と絶滅の危険から救う、解決策への希望を与えています。
セマカウ島(シンガポール)には有名なビーチサイドの埋め立て地があります。
大量の廃棄物を受け取りましたが、この場所はまだ多様な生態系を所有しており、観光客を満足させているのです。
しかし、まだセマカウ島では、現在でも、埋め立てが続けられています。
このままいくと、処分場は2045年には満杯になってしまうそうです。
ゴミを出さない工夫、減らす努力。
皆さんももう一度、身の回りのゴミをチェックしてみましょう。
まだまだ、あなたに出来ることがあるかもしれません。