自然災害という側面

昨年、東京都心を襲ったを台風を思い出してみます。
1都12県に大雨特別警報が発表され、数多くの一級河川の堤防が決壊。
のちに令和元年東日本台風と命名された台風19号です。
台風が上陸する前日から気象庁は緊急会見を開いて注意喚起を促し、台風による影響が出る前に、できる対策をとり、接近時はなるべく不要不急の外出は避けるよう訴えました。

新型コロナウイルスの感染拡大は勢力が猛烈に強く、スピードも遅く迷走する台風です。
一国で万単位の命を奪うほどの勢力を維持しながら、上陸するタイミングもその場所も予測が非常に難しい。
それどころか、台風の目は突然天気図上ではなくなったように見え、次の瞬間海岸線のすぐそこに現れたりする。

気象予測の歴史は古く、その始まりは明治時代に遡り、その後多くの経験をもとに予測技術を築いて今に至ります。
それに対して、ウイルスによる感染症は、有史以来、幾度となく全世界で猛威を振るってきましたが、その挙動は全く予測できません。
それは人間の行動、社会活動、経済活動が深く関わっているからです。

ウイルスによる感染拡大は自然災害という側面はありますが、そう一筋縄にはいきません。
ですが、私たちができる対策としては、最強台風に対する備えと似ているのではないでしょうか。

 

正常性バイアス

目の前の物事が異常な状態を示していても、比較的大きな状態変化がない限りは正常であるとみなしてしまうこと(実用日本表現辞典より)。

この言葉も災害時によく使われる言葉です。

自分の周りで、浸水や土砂災害が起きそうな状況になっていても「まさか我が家には影響ないだろう」と思ってしまうことです。
中国やイタリア、さらには米国で感染が急速に拡大。
また首都東京でも爆発的な感染拡大に近い状況になり始めています。
でもそんな状況の中でも、花見に興じたり、街に繰り出して卒業パーティーに集ったり。
まさか私は大丈夫…….。
そう思ってしまいがちです。

私も若い頃は確かに世の中の動きなんて全然興味がなくて、テレビニュースも、新聞も観ずに好き勝手していました。
遊びたい、楽しみたい気持ちもわかります。

では若い人たちの正常性バイアスを打ち砕く手立てはあるのか?
私はあると思っています。
SNSの活用と、社会ですでに活躍している若者達です。
世の中の表に出ている芸能人や、スポーツ選手、歌って踊れる?アーティストなど。
若い人たちに対する彼ら、彼女らの影響力は計り知れません。

今まで経験したことのない….
この言葉も特に最近気候変動が原因となる異常気象が起きたときに使われていますが、いまがまさに今まで経験したことのない事態、それも直接人の命に関わる事態です。
毎日毎日、同じ原因で次々と死者が出ているのです。
私はまだ生まれていなかったのでわかりませんが、こんな状況は先の大戦以来のことではないでしょうか?
多くの人たちが初めて直面する危機的状況です。
目に見えない敵に打ち勝つには、今までとは違う考えで行動することです。
そこには想像力と決断力が必要です。

マスクを世帯ごとに2枚ずつ….?
国民はこのことをどう受け止めるだろう?と想像する力。
これではダメだ、もっと大胆な方策をと決断する力。
私たちも一人一人がしっかりと状況を見据えて、考え、行動をとらなければなりません。